老朽化対策の方向性

 現在、吉田寮の老朽化対策は赤松・杉万副学長との確約に基づいています。特に2012年に赤松副学長とむすばれた確約では、吉田寮の老朽化対策について次のように述べられています。

  

(120918確約より抜粋)

項目2:吉田寮の耐震強度を十分なものとし、寮生の生命・財産を速やかに守るために、吉田寮現棟を補修することが有効な手段であることを認める。

項目3:大学当局は本確約末尾に示す「吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義」を認め、その意義をできうるかぎり損なわない補修の実現に向けて、今後も協議を続けていく。

吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義

  

    第一に、吉田寮現棟は周辺環境とともに、建築として優れた価値を有する。吉田寮現棟には優良な木材が使われており、居室は全て南向きに配置されている。また、三棟ある居住棟それぞれの間には豊かな樹木群が生い茂る広い庭がある。そのため、日当たり・風通しが大変優れており、寮生の快適な生活を可能にしている。また、吉田寮現棟の庭には多種多様な生命が生き生きと根づいており、その庭は吉田寮生のみならず、広くその庭を訪れる人にとって憩いの場としても機能している。

 

    第二に、建築史から見た価値が吉田寮現棟には存在する。吉田寮現棟は明治・大正期に洋風建築が普及していくなかで建てられた和洋折衷の建築物である。この時代に建てられた西洋の建築意匠・技術によって建てられた学生寮や寄宿舎は多いが、それらのほとんどは建て替えられてしまった。したがって、吉田寮現棟は明治・大正の建築意匠・技術を今に伝える希少な建築物となっている。このように歴史を体現して今に伝える建築物は、過去の事実を知り、未来の新しい考えを生みだす拠り所として貴重なものである。なお、こうした価値はある建物単体としてではなく、吉田寮現棟と隣接する吉田寮食堂棟などと不可分の建築群として、はじめて形成されるものである。

    第三に、一世紀にわたり動態保存され続けてきたことによる価値を吉田寮現棟は有している。このことは、自分たちの生活・活動の場をより良くしようとしてきた人びとの不断の試行錯誤の結果であり、またそうした結果を引き継ぎ、今後も絶え間ない努力を可能にする場として、吉田寮現棟が存在することを意味する。この価値は、たとえば吉田寮現棟の一部をモニュメントなどとして残すのではなく、使い続けることによってこそ受け継がれていくものである。この価値もまた、第二に挙げた価値と同様に、吉田寮現棟のみならず、それに隣接する吉田寮食堂棟などからなる建築群によって、体現されていると言える。

 

 

 すなわち、現棟には建築的・歴史的な意義があり、これを損なわないような老朽化対策を実施するということは、すでに約束されていた事柄なのです。この確約は、赤松氏の次の副学長である杉万氏とも確認されてきました。

 

 しかし、これらの合意ついて、川添副学長は「吉田寮の補修を機関決定したことはない」と述べています*。これは寮生など当事者との議論を無視ししており、寮自治会はおろか赤松・杉万両副学長の取り組みをも踏みにじる不当な発言です。

​次:京都市の条例

前:吉田寮現棟の価値

* 2017年12月19日「質問状への回答について」質問1.4への回答 (pdf