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「寮生追い出し問題」とは?

 京都大学の学生寮の一つとして、学生の生活を支えてきた吉田寮。

 ライブや演劇など、人を惹きつけるイベントの数々が展開されてきた吉田寮。

 寮生だけの場所ではなく、一般にも開かれ、多くの人々とつながりを持ち続けてきた吉田寮。

 その吉田寮が、いま、「寮生追い出し問題」に直面しています。

 京都大学と、吉田寮は、どんな問題の渦中にあるのか、お伝えしたいと思います。

建物について

  まず、吉田寮の建物について簡単な説明を。

 吉田寮は、「現棟(げんとう)」「食堂」「新棟(しんとう)」とよばれる3つの建物からなっています。現棟(1913年築)新棟(2015年築)に寮生が住み、「食堂」(1913年築、2015年補修済み)はイベントスペースとして寮生だけでなく様々なひとびとが集う場所として使われてきました。

 特に、現棟については、そこで100年以上生活が営まれてきたという歴史的価値もさることながら、日本建築学会や、建築史学会の二つの学会から保存要望書が出されているなど、建築学的価値も客観的に明らかにされています。

 

自治について

  そして、なによりも、「吉田寮生が100年以上の間、『自治』を行って運営してきた」という価値が、ここにはあります。

 吉田寮の「自治」とは、要するに、

①自分たちにかかわる様々なことについて

②自分たちで対等に話し合い

③自分たちで決定し

④自分たちで実行する

というものです。

 これに基づき、吉田寮生は生活上の様々なことや、吉田寮の在り方についても、自分たちで決めてきました。1913年の開舎以来、ずっとです。

 みなさまには、ぜひ週末のイベントや寮内見学会に足を運んでみて、直接上記のような価値、良いところ、というものに触れてほしいな、と思います。

 

 

大学との話し合いと老朽化問題への取り組み

  吉田寮の在り方については、もちろん、建物や敷地の法的な所有者である京都大学の代表と団体交渉というありかたで誠実に話し合ってきました。

 例えば、「老朽化している現棟をどのように補修するか」最近では、「新棟の建造にあたって、どんな建物にするか」などです。

 特に前者については大学側で補修のための予算が突然都合が合わなくなったりするなど、うまくいかないこともありましたが、それでも大学代表者と寮自治会は10年以上も話し合いを続け、2015年、杉万副学長・学生担当理事(以下、杉万さん)「現棟を補修する」という方向でついに一致しました。

異変

  ところが2015年、杉万さんが体調不良を理由に辞任し、川添副学長・学生担当理事(以下、川添さん)に交代すると、風向きが変わりました。川添さんは、寮側と大学側が積み重ねてきた議論や確約(大学当局が吉田寮自治会に対して約束した内容を書面化したもの)を反故にし、さらに「(長年続けられてきた)団体交渉形式での話し合いでは理性的で建設的な議論ができない」と吉田寮自治会との話し合いを拒否しました。

 同年、私たちは京都大学に向けて現棟の補修案を提示しましたが、川添さんはじめ大学側は「検討する」と言ったまま、何年も返答を保留しました。検討するのに時間がかかりすぎではありませんか?

寮生追い出し問題

  話し合いが開かれないまま3年ほどになる2017年12月、京都大学は吉田寮自治会に対して「全吉田寮生の2018年9月末までの退去」を通告してきました。理由は、「現棟の老朽化」。現棟が老朽化して耐震性に欠けるから、吉田寮生は全員退舎して解散しなさい、ということです。

 ……あれ?新棟は?

 新棟は築3年の新しい建物で、耐震性に問題はなく、老朽化とも無縁です。

 それでも京都大学は現棟からも、新棟からも退寮するよう要求しています。

 そのうえ、京都大学は、現棟、食堂、新棟を、―もぬけの殻となった吉田寮を、どうするつもりなのか、ということについてほとんど何も明かしていません。

現棟は、補修するのか? それとも、建て替えるのか? それについても、何も、明かしていません。

 これまで、現棟を補修するという点で一致して、話し合いを進めてきたのに。

 おかしい。何かが、おかしくなっている。

吉田寮が大学に言いたいこと

  私たちは、このまま9月末日に全員退舎して、解散するわけにはいかないと思います。

 一度失われた、人の集う「場」を、取り戻すことはかなり難しい。

 人がそこに居て、繋いでいかなければ、簡単に壊れてしまう。 

 それは、その「場」が展開される建物自体にも当てはまる。京都大学が「壊す」と言ってしまえば風に飛ぶように消えてしまう。だって大学は所有者だし。だけれど、その建物の良いところを認識して、活かしていきたいという思いを、私たちは持っている。その思いに、誠実にこたえてほしい。

 京都大学には、これまでの話し合いの在り方―私たちの意見を聞いて、それに対して意見を述べ、私たちがそれを受けてフィードバックするという、ごく普通、当たり前の話し合いの在り方を取り戻してほしいと思います。

 一緒に、吉田寮の在り方について、きちんと話し合っていきたい。

 

吉田寮がみなさんに伝えたいこと

  いまの大学と吉田寮の平行線の・膠着した状態を打開するには、みなさんの声が必要だと思っています。

 吉田寮は、広く一般のかたがたとの交流が、その魅力に一つだと思っています。

 イベントの時だけでなく、なんてことはない日にも、さまざまな人が寮を訪れ、話をし、ご飯を食べ、お酒も飲む。

 「寮生と寮生ではない人の境界線が少し曖昧な感じが好き」と、ある人は言いましたが、それだなぁとわたしも思います。

 このような「場」を続けるために、みなさんの力を貸していただきたいと思っています。

 みなさんには、こうしたサイトで、吉田寮の様子を気にかけていただいたり、「食堂」などで開催されるイベントに足を運んでいただいたり。吉田寮の見学会に参加していただいて、私たちの大事にしたいもの、後世に伝えていきたいと思っているものについて、実際に見ていただいたりなどなど…。

 さらに、現在は、一般のみなさんと卒寮生のみなさんで大学に提出する共同声明の、賛同署名活動なども行われていますし、これから一般のみなさんと吉田寮をどのように保存改修していくかを考えるイベント(市民と考える吉田寮再生100年プロジェクト)も行われ、これからさらに、皆さんと一緒にこの問題について考えていきたいと思っています。

 さまざまな関わり方が可能な吉田寮に、ぜひ一度、来てみてください。

  そして、一緒に声を上げていただければ、本当に、うれしく思います。

 

 

 

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