占有移転禁止の仮処分について
2019年1月17日、京都地方裁判所の執行官が来寮し、「占有移転禁止の仮処分」を下しました。同日、京大当局は記者会見を開き、この仮処分の申し立てをしていたことを明かしました。
・占有移転禁止の仮処分とは
占有移転禁止の仮処分とは、建物等の明け渡しを求める訴訟の前段階として、被告となる債務者を固定するための措置です。
例えば、Aさんが訴訟の被告になったとしましょう。提訴から判決まではタイムラグがあります。Aさんがこのラグを利用して、自分は建物から立ち退き、他の人(Bさん)に建物を使わせたとします。その後下される判決はAさんが対象なので、単純に考えると、判決時点で建物を使用しているBさんを立ち退かせることはできません。
しかし、占有移転禁止の仮処分をすることで、建物を使っているのはAさんだということを(手続き上)確定させます。すると、提訴後に使用実態が別の人に移ったとしても、明け渡しの判決が下れば建物を明け渡させることができます。
・記者会見の内容
京大当局の記者会見には、川添理事ほか1名が出席しました。そこで川添理事は「訴訟を排除しているわけではない」と述べ、強硬手段も辞さない構えを見せました。「寮生の賢明な判断を」とも述べていましたが、訴訟をチラつかせてのこの発言は、単に「執行部のいいなりになれ」とほぼ同義と言えるでしょう。
・債務者へのメール
その後、債務者として指定された寮生に対して、厚生課から以下のメールが届きました。
件名:
吉田寮現棟に係る占有移転禁止の仮処分の執行について
本文:
占有移転禁止の仮処分に係る債務者 各位
本メールは京都大学教育推進・学生支援部厚生課よりお送りしております。
本学は、吉田寮現棟について、貴君を含めた41名の学生諸君を債務者とし
て、平成30年12月20日に占有移転禁止の仮処分の命令の申立てを行い、
本年1月8日に仮処分の命令を受け、本年1月11日に仮処分の執行の申立て
を行い、本年1月17日に仮処分が執行されました。
占有移転禁止の仮処分は、一般的に、建物等の明渡訴訟を提起するにあたっ
て、その提訴に先立って申し立てることによって、訴訟の相手方とすべき人物
を特定するための手続です。
万が一貴君がすでに吉田寮を退舎している場合は、直ちに下記担当まで連絡
してください。
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京都大学教育推進・学生支援部厚生課
〒606-8501 京都市左京区吉田本町
TEL:075-753-2533
FAX:075-753-2512
E-mail : 840kousei@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp
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このメールからは訴訟に前のめりになっている厚生課および大学執行部の姿勢が透けて見えます。寮生の退去が自己目的化してしまっていて、老朽化対策のことなど忘れてしまっているかのようです。川添理事など京大執行部の方々には、老朽化対策の話し合いを速やかに再開するように求めます。
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吉田寮自治会からの抗議声明:pdf
吉田寮タイムズ:pdf