NHKのドラマ、「ワンダーウォール」が放映された。
私は学会のため、オーストラリアへ渡航していたため、リアルタイムで視聴できなかった。帰国後、実家にて録画を視聴した。
一部、表現に問題があったり、誇張していたりする部分があったとはいえ、吉田寮の生活や寮生の雰囲気をかなりよく捉えられていたと思う。
寮生の一人として、私はとても不思議な気持ちで観ていた。
「あぁ、寮生って外部から見るとこんな感じなのか」と改めて思ったからである。
それは、ある種カリカチュアライズされていたし、「私が知っている寮生」より、そこに映し出されていた寮生は遥かに「寮生」を体現していた。
自分が住んでいるところ、自分が知っている人を基に何かを映し出される、というのはやはり何とも言えない。
そこには正直、嬉しさもあり、照れくささもあり、「こんなの違うよ」という想いもある。
ただ、「何が本当の姿か」を探し求めるのは不毛ではないだろうか。
我々が目にしたのは、ある現実をモティーフにした、ある種の芸術作品である。
それは、本物をリアルに近づけることだけを目指して作られただけではないだろう。
そこから何を感じ取るのかは人によって自由だ。称賛してもいいし、文句を言ってもいい。
ただ、あぁいうインスピレーションを作家に与えた場が、もうすぐ無くなるかもしれない。
その事実のみは、解釈の余地がなく絶対的なのである。
あのドラマで寮に興味を持った人が、少しでも増えてくれればいいと思う。
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