現在もまだ吉田寮にいる人々について、少しずつ書いていきたいと思う。
彼との出会いは、もう四年ほど前に遡る。
東京の私大を出て、芸術系の大学も出たという変わり種だ。
彼は独特の世界観を持っていて、ふいに出る一言がとても面白かったりする。
寮に来て、色々な人に出会って思うことは、自分の人生観や社会観がいかに狭いか、ということである。
彼と話をしていると、単線的で、あらゆる寄り道や迷いは許されないというのが、自分の貧しい思い込みに過ぎないということを思い知らされる。
何だか違う時間を生きているかのような物の見方、ハッとさせられるような一言。
こういったものはきっと、「無駄」と思われるようなものからしか出てこないのだろう。
あらゆる物事を自分の都合のいいように解釈し、経験や知見が豊かな割には世界観が貧しい。そういう人間はたくさんいるだろう。私ももちろん例外ではない。
自分の見方を相対化する、言うのは簡単だがやるのは難しい。
吉田寮は、そういうちょっとした効用がある場所かもしれない。
私にはまだまだ、この効用が必要なのだと思う。
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