最初に入寮して数か月の間は、寮生は全員、大部屋に入れられる。
これはいわゆる「同期入寮」というやつで、そのよしみで仲良くなる人も多い。
私は多少、新入寮生よりも年上だったが、全く遠慮なく、全員ため口を話す。
敬語で話されたことなどほとんどない。
部屋の明かりを消さず、遅くまで皆で麻雀をしたり、ゲームをしたり。
おいおい、明日私は授業朝から出るんだが・・・などと思っていたら、いつの間にか自分も参加している。
毎日が修学旅行のようで、とても楽しかった。
それはそれは狭いところなのだが、その狭さがまた味わい深かったりする。
思えば、これ程までに他人の生活や息遣いを近くで感じることは滅多にないのだ。
今でも同期で入った寮生とは仲が良い。
あまり集団生活は得意ではないのだが、数えきれないほどの思い出がそこでできた。
皆、それぞれのルーツを持ち、思い思い、寮にやってきて生活をスタートする。
あの瞬間を適切に名付け、形容することは今の私にはできない。
あの部屋で朝起き、寝ている寮生を跨ぎ、時には踏んづけて(踏んづけられた方も最初の頃は起きたが、後半は慣れてきたのか、起きない)、大学へ向かう。
あぁいう何気ない一瞬一瞬が、寮の思い出は日々を形作っていたのだろうか。
それは過ごしているうちには何とも思えない、過ぎ去ってから大事に思える不思議な存在なのだ。
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