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「忘れ難き人⑦/投稿者」残り80日

私が入寮した部屋割りの相部屋の相手がその人だった。


その人との相部屋暮らしは快適とは全く言えなかった。



とにかく物が多く、寮の中でもかなり汚部屋の持ち主として有名だった。

私の生活スペースは、布団一枚分しかなかった。



これが吉田寮に入る試練なのか、と思ったものである。

その人から、ウイスキーについて色々と教わった記憶がある。

とにかく酒好きな人だった。


部屋に帰ってくると、いつも酒に酔っ払って眠っていた。

狭い汚い部屋で、その人の足にぶつかりながらドアを開けて入室していた。



その人には、ある書類の添削などでもお世話になった。

部屋は全然片づけないが、面倒見がいい人だった。



今でも時々、寮にやってくる。大好きなお酒を飲みながら、楽しそうに何かを語っている。



もう一度、その人と相部屋になるのはごめんだが、一緒に飲む酒は美味しい。



今はその人も、東京で暮らしているらしい。



私は東京に行っても、きっとその人の家には泊まらないだろう。



あの人との相部屋暮らしは、とりあえず今は、思い出の中だけで十分なのである。

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