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「忘れ難き人/投稿者S」残り101日

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このブログはいろんな寮生の思いを紹介するもの目的です!

今回は寮生Sの投稿です。

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サイト訪問者の方へ

吉田寮は入りづらい、よく分からない

そんな声をよく聞きます。

このブログは

そんな声に答えたい思いからうまれた

吉田寮生の日々を紹介するブログです。

もしブログを読んで吉田寮が気になった人は

吉田寮を訪問してみてください。

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残り●●日というのは、

9月末までの日数です。

吉田寮生は9月末までに退去するように

大学から通告されています。

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寮に入ってから、様々な人に出会った。


中でも覚えているある院生がいる。


彼とは、最初に入る大部屋で一緒だった。


彼に、入学について様々な書類の手続きをどうすればいいかを訊ねた。すると、彼は事も無げに、「知らない。書類全部捨てちゃったから」と言い放った。


「何だコイツ」


それが私の彼に対する第一印象である。


彼にはおかしなところがたくさんあった。


塾バイトの帰りにカジノに行って有り金を全部すった話や、砂漠を放浪していて、家に帰ったら親がすごく心配していたので、「大学にでも行くか」と思った話など、彼から出てくる話は、それこそ「変人」のそれであった。


彼はとことん自分の周りの事務のことに興味・関心が無かった。修士論文の自分の公聴会の教室や時間を前日の夜になっても知らなかったくらいである。


そんな彼も卒業して就職することになった。

私は、内心、彼に務まる仕事なんてこの世にある訳がないと思っていた。

そこで、「何の仕事をするの?」と訊いてみた。


「何かを売る仕事。よくわかんない」


彼は、就職に必要な卒業証書や証明書をもらいに行くタイミングになっても大学に現れなかった。卒業旅行にどこかへ一人で行くと聞いていたので、長引いているのかな、と思っていた。リマインドもかねて、彼に卒業関係のことで分からないこともあったため、連絡をしてみた。


「南米から戻ってきたばかりでよくわからん」

「諸事情あって成田空港で暮らしている」



彼は結局、無事に卒業関係の書類を受け取り、今では普通に仕事をしている。彼は時々、寮にきてくれる。今でも一緒に酒を呑む仲だ。



吉田寮には様々な人が訪れ、様々な人が去っていく。

私はそこで色々な人とすれ違った。それぞれに忘れ難い思い出がある。


時折、彼から連絡が来ることがある。


「縄文土器と弥生土器、どっちがいいと思う?深い意味はない」


むしろ、深い意味があってくれた方がいいのにな、と思いながら、私は文字を打ち込む。


そんな仲があったりなかったりするのが、吉田寮の一面である。


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吉田寮の未来のための私たちの提案

2019年2月20日、吉田寮自治会は署名提出行動とともに、記者会見を行いました。その際、提示した文書及び、大学当局への提案内容をここに転載いたします。 1)「吉田寮の今後のあり方について」を受けて  2019年2月12日、京都大学は『吉田寮の今後のあり方について』(以下、本文書において「今後のあり方」と言う)という文書を公式サイト上で発表し、記者会見を開いてマスコミ向けにこれを説明しました。この文

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