とにかく、体の大きな奴だった。
身長はたぶん、185cmくらいはあったと思う。
いつも仏頂面で、最初は、ずいぶんと愛想のない奴だな、と思った。
話していくうちに、色々な面が見えてきた。
文学が好きだということが分かり、私が好きな作家、大江健三郎を勧めたことがある。
大江健三郎は合わなかったようだが、詩集等を好んで読んでいたと思う。
自分の趣味と学部が合っていなかったから、転学部を考えていて、その話をよくした。
色々と悩んでいたが、自分の人生をどうするか、本気で考えていたのだと思う。
朝早く起きたとき、彼が私にうどんを作ってくれたことがある。
だしを取っていたのかどうかは分からなかったが、美味しかった。
麺は手打ちだったか何だったか、よく覚えていないが、こだわっていたと思う。
そいつはある日、色々あって遠くへいってしまった。
今でもあいつのうどんの味を覚えている。
また、いつの日か作ってほしい。
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